何となくを語り在る

「マグロ漁船の人と結婚しそう」
友人は先輩にそういわれた。一人が好きで、酒飲みで、男はたまにでよい。人付き合いは上手ではないし、人見知りはするし、男には好かれるけれどいつも違和感を感じて、特に何もないまま。

大学時代、僕と彼女は学校でも会ってたけれど、だいたいのことはメールでやり取りをしていた。恋愛感情というよりも言葉が上手な人と言葉にこだわってメールをしていた。江国香織や辻仁成の話とか、ミスチルの話、考えたことや感じたことなど。日に1度もあれば、月に1度など、頻度もまちまちだったけれど、卒業後少しの間まで、それは続いていた。

僕が東京でようやく生きていけそうと思ったとき、友人の結婚で再開した。相変わらずの挙動不審さ、でも言葉はしっかり言う。相変わらずだな、と思う。

「なんなあ、案内送るとき、住所きいてん。そしたらさ、あの人と住所同じやってんけど、なんで?」
式場で友人が言う。え?何?引越しするって言ってたけど、どういうこと?

そして半年後、結婚式の案内が届く。
相手も僕の友人・・・というか、大親友。きっと何かがあったんあろうけれど、僕はさっぱりわからない。友人いわく「落ち着くところに落ち着いた」。

こういうこともあるんだな、と思う。

見た目は、マグロ漁船に乗ってそうだけれど、マグロ漁船ではなかった。
「今日は夜勤やから、寂しいわ」と彼。

8年後に、そういう台詞をその人に言うだなんて、想像もできなかったんじゃない?
人生って本当に変だ。

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