日本語という外国語

面白かった!

日本語という外国語 (講談社現代新書)
荒川 洋平
講談社
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「日本語を教える」という観点から日本語を眺めた新書です。文法の説明箇所は、概論希望の人にはちょっと辛いと思うのですが、英語を教えている僕からはとても面白かった。

英語の初学者を育てる立場として、一番子どもたちに理解して欲しいのは「語順」であって、「英語を日本語にする際のテクニック」だったりします。

特に、英語には助詞がないんだよ、という点。
たとえばI am a student.をみたとき、初学者はamが「は」という意味だって思ってしまうのです。けど、日本語における助詞は英語においては「位置」で示す。それがなかなか理解してもらえない。

こういう「英語と日本語の違い」は、やっぱり言語そのものへの気づきが必要だから、日本人の英語力は国語教育の側からも、やっぱりちゃんとしなきゃいけないと本書を読んで、強く感じました。

「え?コミュニケーション能力は?」と言われそうですが、途中で著者が指摘するように、授業の組み方がやっぱり変だから、著者のする日本語教育に比べて、日本の英語教育は相当ダメです。

「あいうえお」も知れない外国人が、ゼロから日本語を勉強すれば、これ(*bottsu注:「です、ます」の文で一日の活動を説明する)くらい話せるようになるでしょうか。
答えは、もし一日に三時間、月曜から金曜まで学べば、早ければ一ヶ月、どんなに遅くても二ヶ月で、このレベルまで達することができます。僕は日本の中学・高校の英語教育にはそれ相応の意義があると考えていますが、日常レベルの会話が話せる段階まで持っていくいくコースの組み立てとスピードでは、率直に言って学校の英語教育は、日本語教育の足元にも及びません。(p.136-137)

じゃあ、どう教えたらよいのか?
ちょっとヒントになるかな?と思って抜粋。

日本語教育の「四つの秘訣」
(1)文型の「拡張」を利用して授業を進めること
(2)学習者に耳を使わせること
(3)ある語や文型のリアルな使用状況を追求すること
(4)文を用いて話す試みをさせること
(p.228、p.144~p.153)

普段の授業の反省を促されるのですが、まったくできていないのが(1)。

「わたしはりんごを買いました」を教えた後、「わたしは りんごを 2つ 買いました」みたいに、1つの文を理解してもらったら、それを機軸にどんどん増やしていく策略。脳への負担も少ないし、思い出しやすいし、使いやすい。

日本の英語教育は、A be different from Bが登場したら、「AはBとは異なる」で終了ですからね。be interested inとか、暗記してるけど使えないのは、そのせいかもしれません。

はあ、学校教育ってなんやろうかね。

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コメント

  1. 荒川洋平 より:

    botts様
    貴ブログにての拙著ご紹介、ありがとうございます。
    英語教育についても勝手なことを申し上げましたが、虚心にお読みくださったこと、感謝いたします。
    もしご感想やご質問がございましたら、メールアドレス宛お送りくだされば、必ずご返信申し上げます。
    改めて、ご紹介ありがとうございました。

  2. ちしゅー より:

    (おおっ! 著者ご本人からのコメントが! こんなこともあるのね!
     それはさておき。)
    「拡張」って、いろいろな教育や、自分の学習にも、それこそ拡張出来そうな気がしました。本を読んでて身につまされたりすると、「うーむ」とうなって条件を増やしたり変化させたりしていく。ああいうのが鍛錬とか訓練とかのキホンにあるんではなかろうか。などと思いましたことよ。とりあえず買って読んでみます。

  3. bottsu より:

    @荒川先生
    わっ、ご本人がこんなインターネットの端っこのブログなんかにアクセスしていただき感謝です。久米さんのTBSラジオの番組に出演されていたのを聞いて、買って読んだという経緯であって・・・というのは追ってメールいたしますね。

    @石田さん
    日本語を学ぶ学生のための文法というのもとても役に立つし、どうして外国人の発音が妙なのか、その説明もあって面白いですよ~。

    逆に日本人の英語の発音が悪いのは・・・なんてことも思ったのですが、単純に教員側が英語の音の特徴まで気を配って勉強してなかったりするのかなあと思ったりします(僕自身、その特徴を捕まえて矯正できる力がないっす)。

    コトバ、面白いですねえ・・・

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