水と油『不時着』

不時着

マイム集団、「水と油」の公演を見てきました。
友人から「言葉が一切ない、動作だけのお芝居」と薦められてチケットを取ったのですが、「言葉がない舞台?」と、ちょっと好奇心、半分やっかみで行きました。そしたら、もうすんごいよくてびっくりでした。

場所は「東京グローブ座」。新大久保という、歌舞伎町よりひっそりしてるけど、ハングル溢れる町を少し抜けたところに突如現れる、3階席まであるちょっと大き目の小劇場。中に入ってびっくりしたのだけど、一番前の席は、舞台の地面と目線が同じくらいのところにあって、「多目的」ではない、ほんともう「舞台のための箱」として作られたところでした。こういう舞台、東京にもあったのか〜。

さてさて今回の演目は「不時着」。どうも「水と油」の出世作らしい。

 「不時着」は人生を「ゲーム盤の上で繰り広げられるゲーム」と設定し、人間の存在のあやふやさを、スピード感あふれるパフォーマンスでユーモア感覚豊かに描き出している。
 →異次元へ誘い込むマイム 「水と油」全国公演(アサヒコム)

普通、舞台は主役の人を囲むようにして話が進んでいくのですが、これは人が舞台そのものだから、右から左から「動作」が交差して、さっきまで主だった人がいつの間にか消えていたり、部屋だった場面が空に変わったり、坂になったり、俯瞰した状況になったりと、もう「目をどこにやれば「ちゃんと」見れるの?!」なんて思ってしまう。けど、あまりにそれが美しくて、言葉がないんだけど、話に引き込まれて行っちゃうんですよ、これが。

そして気がついたら終わっていたのですが、演技時間なんと1時間30分。そのあいだ、ずっと人が激しく動き回るさまは圧巻です。人間の動きがあれほど美しいと思ったことがなかった。

ジョージシーガル、次の出発

あと、舞台を見ながら頭に浮かんだのはジョージ・シーガルの彫刻。それがまるで動き出したような感覚を覚えてしまった。シーガルといえば、町行く人をそのまま石膏で固めて再現した現代彫刻家。ほとんどの風景が切り取られ、その他の情報は人のみで再現された異質な空間というのは、まさに「水と油」の舞台とオーバーラップ。

ここにあったものが、あちらにあって、あちらにあったものが、こちらにあって。人生、それの繰り返し。なんでそんなに繰りかえすの?そんなこと聞いたって、こっちだってわからないよ。でもグルグル回るんだよね。

と、動くシーガルの彫像にいわれてるみたいだった。
それにしても素敵なお芝居でした。全国ツアーらしいので、お近くの公演があればぜひ足を運んでみてください。

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