子どもの心のコーチング

カウンセリングとコーチングはとても似ていると言われる。
でも、僕はコーチングはカウンセリングの一部だと思ってる。

一般的にカウンセリングは、「困っていることを解決するため」の1つの技法だが、
多くの人は「聴いてくれる人」がカウンセラーだと考えているんじゃないだろうか。

実際は、時と場合による。
話を聴くことは基本。けれど、困っていることに対して一緒に決まりごとの
リストを作って、できるかどうか確認する役割になったりもする。子どもとは
一緒に遊ぶ中で感情をうまく出せるように施してみたり、親には言えない秘密を
共有する大人として存在することもある。もちろん失った家族の悲嘆から回復で
きるように、たくさん話を聞いて、今後のことを模索していくこともある。

まとめると、「こういうゴールがあって、それに向かう人のサポート」であり
それをコミュニケーションを通じて行う「何でも屋」の援助者である。
カウンセラーは自分の仕事を「どぶ掃除」と自嘲気味に言う時もあるけれど、
そのゆえんは、そこから来ていると思う。

コーチングは、「具体的に目標を達成するためのコーチ」である点が、
カウンセリングから特化している。コーチだから、揺るぎない信念を持って、
対象を指導していく。時に励まし、時に叱り、時に笑いあう。そんな感じ。

この本は、「子ども」にどのようにコーチしていけばいいかを簡潔明瞭に
書かれている良書。

子どもには、
(1)愛すること
(2)責任
(3)人の役に立つ喜び
の3点を教えたいとし、今この時点の行動ではなく、未来に作られていく
行動を育てるという先の視点を持った接し方を求め、それを元にした
「コーチ」としての態度や意識がこの本に書かれている。

他の子育て本とは違うのは、筆者が経験した娘との苦悩の日々を振り返って
いるところ。普通なら偉そうにどんどん一方的に書かれていくハウツーで
終わるけれど、こんな本を書く著者の娘でも学校に不適応となったことや、
不適応のとき、娘が日々似たような話をずっとされて、耐えきれず怒って
しまったこと、その後講演で「みなさん、子どもの話を聴きましょう」なん
て言えなかったこと、などなどが綴られる。

また、親の側の問題も少しだけ触れられている。
自分が幸せに育ってこなかったことについて。もう少し深く突っ込んで欲しかった
けれど、その解決に「距離を取る」「話し合う」ことが大切とする著者の考え方
にはとても同意。自分の親との問題が未解決の場合は、子育てにおいて、どこ
か影響を与えると若干ながら感じる。それが「闇」と取るか、「それが人生」
ととるかは別として、そのことに子育て中に悩むのであれば、可能であれば取り組み
自分なりの解決した方がいい。そこに言及し、踏み込んだのは、素晴らしいと思う。

1点だけ気になるのは、この本のベースになっているのは、
認知行動療法と呼ばれる、発達障害やうつ病なんかに有効な心理療法や、
「親業」と呼ばれる親たちのグループワークで言われているものを、
簡単に説明してくれているだけだったりする。

自分が考えたとは書いていないからいいんだろうけれど、
引用や文献を紹介したらいいのにな、と思ったのは別の話?
ともかく、ごちゃごちゃ書いていないところが、いいな!だな。

この本で興味を感じた人は以下の書籍を参考に。
育てる側としてもそうだろうけれど、僕みたいな子どもと関わる仕事を
している人間にはとても役に立つ本です。

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング
のび太・ジャイアン症候群―ADHD(注意欠陥・他動性障害)
やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方
(自分と問題を切り離して考えることができる技法。「クリアリング・ア・スペース」は秀逸)
はじめてのカウンセリング入門(下)―ほんものの傾聴を学ぶ
(師匠の本ですが、傾聴について一番詳しく書かれている素晴らしい本。傾聴は簡単ではないのだ)

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