6代目円楽師匠の「芝浜」。
情景がきれいに見えてくる語り口で、最後までぐっとつないでくれます。
財布のあたりのやり取りは、女将さんのイメージまで目に浮かび、心に突き刺さる。
あと、この映像の枕の噺がとても印象的です。
5代目円楽師匠のことが少し語られますが、落語をリレーに例えてこう言います。
芸というものはどんな形でも縦につながっていく。これがいいもんなんでございましてね。スポーツというのは、たとえば走っている、バトンを渡すというのは、走ってきて、次に走る前へ渡すんですね。でも、芸事ってのは、前を走っていた人間は、後ろからくる人間に「あとを頼んだよ」と言ってバトンを渡す。渡すのは良いんですが、渡されたほうが火を吹くんですよね。
そのために影になるもの、サポートが必要という話から、「芝浜」で登場する女将さんの話へ繋がりますが、その流れがきれいだし、この話だけでもじんわり来るし、そのあと、ちゃんと笑わせてくれるから、うん、さすがです。